逆流性食道炎の症状から治療法までを徹底解説

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2024.05.28

逆流性食道炎の症状から治療法までを徹底解説

逆流性食道炎とは

定義と基本情報

逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することによって引き起こされる炎症のことを指します。通常、食道と胃の間には下部食道括約筋という筋肉があり、これが正常に機能することで胃酸の逆流を防いでいます。
しかし、何らかの原因でこの筋肉の機能が低下すると、胃酸が食道に逆流し、食道の壁を傷つけることで逆流性食道炎が発生します。典型的な症状としては胸やけが挙げられますが、呑酸やその他の消化器症状も見られます。

胃食道逆流との違い

胃食道逆流と逆流性食道炎は一見似ているように思われますが、実際には異なる状態を指します。胃食道逆流は、単純に胃酸が一時的に食道に逆流する現象を意味し、誰にでも起こり得るものです。通常、この逆流は一過性であり、特段の症状や問題は生じません。一方、逆流性食道炎は、胃酸の逆流が慢性的に続き、食道に炎症を引き起こしている状態を指します。つまり、胃食道逆流が頻繁に発生して、食道の細胞が炎症を起こすなどの症状が出てくると、それは逆流性食道炎と診断されます。

逆流性食道炎の原因

生活習慣と食事

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逆流性食道炎の原因には、生活習慣や食事が大きく関わっています。脂っこい食事や大量のアルコール、清涼飲料水、コーヒーの過剰摂取は、食道と胃をつなぐ下部食道括約筋の機能を低下させ、胃酸の逆流を引き起こしやすくします。また、食べ過ぎや夜遅い時間に食事をすると、胃の内容物が長時間胃に留まるため、逆流のリスクが高まります。さらには、喫煙も逆流性食道炎の症状を悪化させる要因となります。

ストレス

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ストレスも逆流性食道炎の重要な原因の一つです。ストレスによって胃酸の分泌が増加し、これが食道に逆流して炎症を引き起こすことがあります。また、ストレスは食道の過敏性を高め、通常よりも強く症状を感じやすくします。ストレス管理は逆流性食道炎の治療や症状の改善において非常に重要です。リラックスする時間を持つ、適度な運動をする、深呼吸や瞑想を取り入れるなどの方法でストレスを軽減することが推奨されます。

その他の要因

逆流性食道炎のその他の原因には、肥満や妊娠、特定の薬の服用が挙げられます。肥満は腹部圧力を高め、胃酸が食道に逆流しやすくなります。妊娠中女性はホルモンの変化や胎児による腹部圧迫により逆流性食道炎の症状が出ることがあります。そして、特定の薬物、例えば一部の鎮痛薬や高血圧薬も逆流性食道炎を引き起こすリスクがあります。これらの要因を理解し、自身の生活習慣と照らし合わせて対策を講じることが大切です。

逆流性食道炎の症状

胸やけと呑酸

逆流性食道炎の最も一般的な症状の一つが胸やけです。胸やけとは、胸の中心部が焼けるような痛みを感じる状態を指します。また、呑酸という症状も頻繁に見られます。呑酸とは、胃酸が食道へ逆流し、苦味や酸味を感じることを意味します。これらの症状は、特に食後や横になるときに強く現れる傾向があります。

その他の症状

逆流性食道炎の症状は胸やけや呑酸だけに限りません。喉の痛みや違和感、慢性的な咳、嗄声(声のかすれ)なども見られることがあります。さらに、胃酸が喉や口にまで逆流することで、口臭や歯のエナメル質の劣化などが起こることもあります。これらの症状は、原因となる食事やライフスタイルの見直しが必要であることを示唆しています。

無症状の場合

逆流性食道炎では、全く症状が現れない場合もあります。無症状のために気づかないことも多いですが、放置すると食道潰瘍や食道がんのリスクが高まる可能性があります。そのため、健康診断や内視鏡検査を定期的に受けることが重要です。特に、ストレス管理やバランスの取れた食事を心がけ、逆流性食道炎の原因を未然に防ぐことが大切です。
上記のような症状がある場合は、京都市伏見区の「なかた内科・胃腸内科クリニック」にご相談ください。
日本消化器病学会 消化器病専門医であり、日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医の院長が、丁寧に診察して診断・治療させていただきます。

逆流性食道炎の診断

内視鏡検査

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逆流性食道炎の診断には、内視鏡検査が重要な役割を果たします。内視鏡検査では、小さなカメラが取り付けられた細いチューブを口から挿入し、食道と胃の内部を直接観察します。この方法により、食道の炎症や潰瘍の有無を確認することができます。また、内視鏡検査は、他の疾患と逆流性食道炎を区別するためにも有用です。
当院では鎮静剤をつかって半分寝ている状態で検査することも可能ですし、鼻から挿入する細い経鼻内視鏡での検査も可能です。

その他の診断方法

内視鏡検査以外にも、逆流性食道炎の診断に使用される方法はいくつかあります。その一つがpHモニタリングです。これは、食道内の酸性度を24時間測定する方法で、逆流がどの程度頻繁に起こっているかを評価します。
もう一つの方法が胃食道逆流検査(上部消化管造影)です。この検査では、バリウムを飲み、その後X線を使って食道と胃の動きを観察します。これにより、逆流性食道炎の兆候や関連する異常が明らかになります。

逆流性食道炎の治療方法

薬物療法

逆流性食道炎の治療において、薬物療法は重要な役割を果たします。主に使用される薬はプロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2受容体拮抗薬です。これらの薬は胃酸の分泌を抑制し、食道への酸の逆流を減少させるため、胸やけや呑酸などの症状を和らげます。薬物療法により、逆流性食道炎の原因となる胃酸の過剰分泌をコントロールし、食事の影響を軽減します。

生活習慣の改善

逆流性食道炎の症状を軽減するためには、日常の生活習慣の改善も不可欠です。例えば、食事の内容や時間を見直すことが重要です。脂肪分の多い食事やアルコール、カフェインを避けることが推奨されます。また、食事後すぐに横になるのを避けることで、食道への胃酸の逆流を防ぎます。さらに、適度な運動やストレス管理も重要です。ストレスは胃酸の分泌を促進し、逆流性食道炎の症状を悪化させることがありますので、リラクゼーション法や趣味を楽しむことでストレスを軽減しましょう。

外科手術

薬物療法や生活習慣の改善でも症状が改善されない場合、外科手術を検討することがあります。手術の一つは「逆流防止手術」で、これは上部胃を折りたたみ、食道下部を囲うことで逆流を防ぐ方法です。この手術により、物理的に胃酸の逆流を防ぎ、逆流性食道炎の症状を大幅に軽減します。ただし、手術にはリスクが伴うため、医師と十分に相談してから決断することが重要です。

逆流性食道炎の予防

日常生活で気を付けること

逆流性食道炎の予防には、日常生活での工夫が大切です。まず、食後すぐに横になることを避けることが重要です。食べた後に早く寝たり、横になることは、胃酸が食道に逆流しやすくなるため、できるだけ避けましょう。また、寝る際には、頭を高くすることで胃酸の逆流を防ぐことができます。
適度な運動も効果的です。運動は消化機能を改善し、食道と胃の間の筋肉を強化するのに役立ちます。しかし、強度の高い運動は逆効果になる可能性があるため、無理のない範囲で行うことが大切です。
ストレスの管理も逆流性食道炎の症状を軽減するためには重要です。ストレスは胃酸の分泌を増やし、食道の過敏性を高める要因となります。リラクゼーション方法を取り入れ、ストレスを上手にコントロールすることを心がけましょう。

食生活の改善

食生活の改善は、逆流性食道炎の予防と治療において非常に重要です。まず、脂肪分が多い食事やスパイシーな食品、カフェイン、アルコールなどは胃酸の逆流を引き起こしやすいので、これらの食品を控えることが望ましいです。さらに、大量の食事は胃に負担をかけるため、一度に食べ過ぎないようにし、少量の食事を数回に分けて摂ることをおすすめします。
逆流性食道炎が原因で胸やけや呑酸といった症状が現れることがあります。これらの症状を軽減するためには、食事を摂る時間帯にも注意が必要です。特に、寝る前の2~3時間以内には食事をしないように心がけることが大切です。
さらに、食事の際にはゆっくりと噛むことが消化を助け、胃酸の逆流を防ぐのに役立ちます。また、水分をしっかりと摂ることで、胃酸の濃度を薄め、逆流性食道炎の症状を和らげることが期待できます。

逆流性食道炎と合併症

食道潰瘍

逆流性食道炎が長期間続くと、食道の粘膜が炎症を起こして傷つきやすくなります。この状態が進行すると、食道潰瘍という深い傷が形成されることがあります。食道潰瘍は、強い胸やけや呑酸以外にも、飲食物を飲み込む際の痛みや出血を引き起こす可能性があります。食事の際に激しい痛みを感じることが多く、日常生活に支障をきたすことがあります。

食道がんのリスク

逆流性食道炎が長期間続いた結果として考えられるもう一つの重大な合併症が、食道がんのリスクです。逆流性食道炎によって食道の粘膜が慢性的に炎症を起こすと、細胞の変性が促され、食道がん発生のリスクが増加します。特に、バレット食道という状態に移行すると、さらにがんの発症リスクが高まります。早期診断と治療が、これらの深刻な事態を未然に防ぐためには重要です。

逆流性食道炎のまとめ

逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することで発症する病気で、主に胸やけや呑酸といった症状が現れます。原因としては、食事や生活習慣、ストレスが大きく関与しており、食事の見直しや生活習慣の改善が予防や治療に有効です。
診断方法には内視鏡検査や様々な診断方法があり、適切な診断が確定的な治療に役立ちます。治療には薬物療法が一般的に用いられますが、薬だけでなく生活習慣の改善も非常に重要です。また、重度の場合には外科手術が行われることもあります。
ストレス管理も逆流性食道炎の症状を軽減するために重要です。最新の研究によれば、ストレスが胃酸の分泌を増加させ、症状を悪化させることが分かってきています。したがって、リラクゼーションや適度な運動も逆流性食道炎の管理に役立つ方法です。
最後に、逆流性食道炎の合併症として食道潰瘍や食道がんのリスクがあるため、早期の診断と治療が重要です。定期的な医療チェックと自己管理を行うことで、逆流性食道炎のリスクを最小限に抑えることが可能です。
逆流性食道炎の症状がある・疑いがあるような方は、早めに京都市伏見区の「なかた内科・胃腸内科クリニック」にご相談ください。

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