萎縮性胃炎の原因とその予防法: ピロリ菌の脅威

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2024.12.11

萎縮性胃炎の原因とその予防法: ピロリ菌の脅威

萎縮性胃炎とは

萎縮性胃炎は、胃の粘膜が萎縮する状態で、胃の粘膜が薄くなり、胃の防御機能が低下するため、さまざまな消化器系の問題を引き起こす可能性があります。
慢性的な胃の炎症が原因となり、時間をかけて進行することが多く、放置すると胃がんのリスクが高まるとされています。

胃粘膜の萎縮と慢性胃炎の関係

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胃粘膜の萎縮は、萎縮性胃炎の慢性炎症が長期間続くことによって生じます。萎縮性胃炎はしばしばピロリ菌感染が原因であり、胃の粘膜を傷つけます。その結果、長引く炎症が胃粘膜の機能を低下させます。この状態が続くと、胃の内壁が薄くなり、消化機能や栄養の吸収能力が損なわれることがあります。

萎縮性胃炎の症状

萎縮性胃炎の症状には、胃痛、胃の重さやむかつき、胸焼け、吐き気、さらに食欲不振や腹部の張り感などがあります。しかし、多くの人は軽度の症状しか感じないため、病気が進行するまで気づかないことがよくあります。慢性胃炎の進行に伴い、これらの症状が悪化することがあるため、早期に診断し適切な治療を受けることが重要です。

ピロリ菌感染感染症と萎縮性胃炎

ピロリ菌が胃粘膜に感染すると、強力な尿素分解酵素であるウレアーゼを産生し、胃の酸性環境を中和します。これにより、ピロリ菌は胃の中で生存しやすくなり、胃粘膜を炎症にさらすことになります。

長期間にわたり感染が続くと、胃粘膜の炎症が慢性化し、最終的には萎縮性胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんのリスクを高める要因となります。このため、ピロリ菌感染の早期診断と治療が重要となるのです。
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萎縮性胃炎の主な原因

萎縮性胃炎は、胃の粘膜が長期間にわたって炎症を起こすことで萎縮し、最終的には胃がんのリスクを高める疾患です。主な原因として、ピロリ菌感染が広く知られていますが、その他にも自己免疫性胃炎といって、自己免疫性疾患で胃の粘膜を攻撃し萎縮性胃炎の原因になることもあります。

萎縮性胃炎以外の慢性胃炎の原因

ピロリ菌以外の因子として、長期にわたる非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の使用が考えられます。これらの薬は、炎症や痛みを緩和するためによく使用されますが、胃粘膜を傷つけることがあるため、慢性的な胃炎を引き起こす可能性があります。

その他、遺伝的要因や過剰なアルコール摂取、特定の栄養素の欠乏なども慢性胃炎の発症に関わることが知られています。

タバコや飲酒、食生活など生活習慣やストレスの影響

生活習慣も慢性胃炎の原因の一つです。特に過度の飲酒や喫煙は胃粘膜を直接刺激し、炎症を促進することがわかっています。
また、不規則な食事や、偏った食生活は胃の防御機能を低下させる要因となり、慢性的な炎症を増幅させる可能性があります。
ストレスは自律神経を乱し、胃酸の過剰分泌を引き起こすため、胃の粘膜を傷つけます。

こうした日常の生活習慣を見直すことが、慢性胃炎の予防および改善につながります。

萎縮性胃炎の診断方法と治療法

胃カメラ検査とその役割

萎縮性胃炎の診断には、胃カメラ検査が重要な役割を果たしています。胃カメラを使うことで、直接胃の内壁を観察し、炎症の程度や萎縮部分を確認できます。さらに、ピロリ菌感染の確定診断のために組織を採取することも可能です。これにより、萎縮性胃炎の原因を特定し、適切な治療方針を決定することができます。

血液検査でのピロリ菌検出

ピロリ菌感染の診断には、血液検査も利用されます。この方法では、ピロリ菌に対する抗体の存在を確認し、感染の有無を推測します。血液検査は非侵襲的で簡便に行えるため、初期診断や治療後の確認に役立ちます。しかし、過去の感染を示す場合もあるため、他の検査と組み合わせて判断することが推奨されます。

ピロリ菌除菌療法

ピロリ菌は萎縮性胃炎の主な原因の一つとして知られており、その除菌療法は非常に重要です。ピロリ菌除菌療法は、主に抗生物質と胃酸の分泌を抑える薬を組み合わせて使用することによって行われます。これにより、胃の粘膜を元の状態に戻し、慢性胃炎の進行を防ぎます。
効果的な除菌のためには処方された薬をきちんと服用して頂くことが必要です。

萎縮性胃炎のレベルと分類

萎縮性胃炎はその進行度合いや症状によっていくつかのレベルや分類に分けられます。通常、胃カメラ検査の結果に基づき、萎縮や炎症の範囲と程度に応じてC-1、C-2、C-3、O-1、O-2、O-3の6段階に分類されます。C-1が一番萎縮の範囲が狭く、O-3は胃全体に萎縮が拡がっている状態です。

また、胃の部位による差異も考慮され、全体的な萎縮の状態が診断の基準となります。これにより、症状の管理と治療計画がより明確になります。

分類の段階は次のとおりです。

  • C-1:萎縮が前庭部にとどまるもの
  • C-2:胃角部から胃体下部に至るもの
  • C-3:胃体上部までのもの
  • O-1:萎縮粘膜が噴門周囲にとどまるもの
  • O-2:O-1とO-3の間であり、萎縮が口側、大彎側への進展している状態
  • O-3:全体的に大彎のひだが消失し、萎縮が全体にあるもの

萎縮の範囲が広いほど、胃がんが発生しやすくなります。萎縮性胃炎を患っている方は、胃癌予防のためにも1~3年の間隔で内視鏡検査を受けることが望ましいです。

萎縮性胃炎を放置するリスク

萎縮性胃炎は、胃の粘膜が長期間にわたり炎症を起こすことで、徐々に粘膜が細くなり萎縮してしまう状態です。この状態を放置すると深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。特に、胃がんのリスクが大きく増加するため、早期の診断と適切な処置が重要です。したがって、萎縮性胃炎の原因や症状についての正しい理解によって、迅速な対応が求められます。

胃がんのリスク

萎縮性胃炎が進行すると、胃の粘膜が薄くなり、胃がんの発生リスクが高まります。ピロリ菌の感染が続くことで、胃粘膜は長期間にわたり攻撃を受け、組織の異常増殖を引き起こしやすくなります。このため、萎縮性胃炎をいち早く診断し、適切な治療を施すことが、胃がん予防には欠かせません。特にピロリ菌感染を放置せず、早期に除菌を行うことが重要です。

早期治療の重要性

萎縮性胃炎の早期治療は、重篤な合併症を防ぐためにも非常に重要です。胃カメラによる内視鏡検査や血液検査でのピロリ菌検出を積極的に行い、萎縮性胃炎のレベルや分類を把握することで、効果的な治療プランを策定できます。薬による治療や生活習慣の改善も含め、症状の進行を抑えることで、リスクを最小限に抑えることが可能です。

その他の慢性胃炎の予防と治療法

生活習慣の改善

慢性胃炎の予防には、日常生活における生活習慣の改善も重要です。過度の飲酒や喫煙は胃の粘膜に悪影響を及ぼし、胃炎のリスクを高めます。同様に、過剰なストレスや不規則な食生活も胃酸の分泌を乱し、胃への負担を増大させます。
バランスの取れた食生活や定期的な運動、ストレスの管理が健康な胃を保つ鍵となります。

食事療法とそのポイント

慢性胃炎の管理には、食事療法も欠かせません。刺激の強い食べ物や飲料を避けることが推奨されており、特に辛いものや酸性の強いものは胃を刺激します。食事は少量を回数多く摂るようにし、胃への負担を軽減しましょう。

また、アルコールやカフェインの摂取を控え、消化の良い食品を選ぶことが勧められます。これらの工夫により、胃の負担を減らし、胃粘膜の保護を促進することが可能です。

まとめ

萎縮性胃炎が進行すると、胃の粘膜が薄くなり胃がんの発生リスクが高まります。
萎縮性胃炎の原因がピロリ菌である場合は、早期にピロリ菌除菌の治療を行うことが大切です。
原因がピロリ菌でなく、禁煙や飲酒、ストレスなどの生活習慣である場合には、生活習慣や食生活の見直しをして改善するようにして、萎縮性胃炎が進行しないように注意しましょう。

萎縮性胃炎の診断や胃がんの早期発見には、胃カメラ(胃内視鏡検査)が有効です。
萎縮性胃炎の診断をされている方は、1~3年の間隔で胃カメラ検査を受けることが望ましいです。

胃がんも早期発見の段階であれば、完治させることのできる病気です。
定期的に健康診断をうけるように心掛けてください。

京都市伏見区の「なかた内科・胃腸内科クリニック」では、鎮静剤で眠っている間に検査を終わらせることがきるので、苦痛を感じることなく検査が可能ですので、気軽にご相談ください。

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