2024.12.16
【予防が大切】胃潰瘍(いかいよう)の症状や予防・治療方法を解説!
胃潰瘍とは
胃潰瘍とは、胃の粘膜にできた深い傷のことです。胃酸や消化酵素が胃の壁を傷つけ、穴が開いてしまう状態を指します。
胃潰瘍には急性胃潰瘍と慢性胃潰瘍があり、それぞれ、発生の仕方や特徴が異なります。
急性胃潰瘍は、比較的短期間に発生し、浅い傷(びらん)が複数見られるのが特徴です。
一方、慢性胃潰瘍は慢性胃潰瘍は、長期間にわたって繰り返される潰瘍で、深い傷が一つまたは数個見られるという特徴があります。
胃潰瘍の症状
胃潰瘍になると、みぞおちを中心とした上腹部を中心に痛みが生じることが多く、これが最も特徴的な症状です。この痛みは、食後や空腹時、あるいは夜間など、人によって痛むタイミングが異なります。また、痛みの程度も、軽い痛みから激しい痛みまで様々です。
痛み以外にも、吐き気や嘔吐、食欲不振、胸やけ、げっぷといった症状が現れることがあります。さらに、潰瘍が深くなると、出血を起こし、吐血や黒い便が出ることもあります。吐血は、吐いたものに鮮血やコーヒーかすのようなものが混ざる状態を指し、黒い便は、消化管内で出血した血液が黒く変色したものです。
これらの症状は、胃潰瘍だけでなく、他の病気でもみられることがあります。そのため、自己判断せず、必ず医師に相談することが大切です。
胃潰瘍の原因
胃潰瘍の原因は様々ですが、主な原因としては以下のものが挙げられます。
ヘリコバクター・ピロリ菌の感染
胃潰瘍の約70〜90%が、この細菌の感染によって起こるとされています。ピロリ菌は胃に住み着き、胃の粘膜を傷つけ、潰瘍を作ってしまうことがあります。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期服用
イブプロフェンやロキソプロフェンなどの痛み止めを長期間服用することで、胃粘膜が保護されなくなり、潰瘍ができやすくなります。
ストレス
大きなストレスは、胃酸の分泌を促し、潰瘍を引き起こす可能性があります。
上記以外にも、喫煙、アルコールの過剰摂取、一部の病気なども、胃潰瘍のリスクを高める要因となります。
胃潰瘍の検査方法は?
どの検査を受けるかは、医師と話し合ったうえで決めましょう。一般的には内視鏡検査が最も詳しい検査方法とされており、ピロリ菌の感染の有無や組織の検査も同時に行うことができます。
内視鏡検査(胃カメラ)
胃カメラは、胃潰瘍の診断で最も一般的な検査方法です。口から細い管状の内視鏡を挿入し、胃の中を直接観察することで、潰瘍の有無や大きさ、場所などを確認できます。
内視鏡検査のメリットとしては、潰瘍の状態を直接目で見て確認できるため、診断の精度が高く、潰瘍の組織を採取し、病理検査を行うことで、がんとの鑑別やピロリ菌の検査も同時にできるということです。
しかし内視鏡検査の場合、検査前の絶食が必要で、検査中に吐き気や嘔吐感を感じる場合があるため、注意が必要です。
バリウム検査
バリウムという造影剤を飲み、X線で胃の形を調べる検査です。
バリウム検査は内視鏡検査に比べて侵襲性が低い特徴がありますが、潰瘍の大きさや深さなどを詳細に調べることは難しく、内視鏡検査に比べて、ピロリ菌の検査や組織採取はできないというデメリットがあります。
血液検査(ピロリ菌検査・貧血検査)
ピロリ菌検査は、血液中のピロリ菌に対する抗体を調べることで、感染の有無を調べます。
貧血検査は出血による貧血の有無を調べます。
尿素呼気試験
ピロリ菌に感染していると、ピロリ菌が持つ酵素の働きで、呼気中に特定の物質が増えることを利用した検査です。内視鏡検査を行わずに、非侵襲的に検査できるのが特徴です。
胃潰瘍の治療方法
胃潰瘍の治療方法は、原因や症状、潰瘍の深さなどによって異なりますが、一般的には以下の治療法が用いられます。
また、治療を受けて症状が改善したと感じても、医師に相談せずに治療を中断すると、再発する可能性があります。治療後も、定期的に医師に診てもらい、状態を確認することが大切です。
薬物療法
薬物療法には、プロトンポンプ阻害剤(PPI)やH2ブロッカーなど、様々なものがあります。
薬によって胃酸の分泌を抑え、胃の酸性度を下げることで、症状を抑えることができます。
生活習慣の改善
生活習慣を改善することも、胃潰瘍の治療に繋がります。
刺激の強い食べ物やアルコール、カフェインなどを避け、消化の良いものを少量ずつ、ゆっくりと食べるようにしましょう。
喫煙は胃粘膜を傷つけるため、禁煙することが大切です。
また、ストレスは胃の働きに悪影響を与えるため、ストレスを溜めないように心がけましょう。
外科手術
穿孔(穴があくこと)や出血がひどい場合、または薬物治療や内視鏡治療が効かない場合に、手術が必要になることがあります。
胃潰瘍の予防方法
胃潰瘍の予防は、原因となる要因を避けることが大切です。
胃潰瘍の原因で多いヘリコバクター・ピロリ菌の感染予防として、生の水や生ものを避け、手をよく洗うなど、食中毒予防を心がけましょう。また、共有している食器等はよく洗い、衛生的な食事をとれるように意識することが大切です。
また、生活習慣の改善も胃潰瘍の予防につながります。
三食規則正しく、野菜や果物を多く摂り、アルコール、コーヒーなどを控えましょう。
喫煙は胃粘膜を傷つけ、潰瘍のリスクを高めます。ストレスは胃の働きに悪影響を与えるため、ストレスを溜めないように心がけましょう。
さらに、定期的な健康診断は早期発見・早期治療のためにとても大切なことです。
もし、胃の不調を感じたら、早めに医療機関を受診してください。
まとめ
胃潰瘍の原因は様々ですが、一度発症すると再発しやすい病気です。
生活習慣の改善や、定期的な健康診断の受診によって、予防を心がけ、健康な胃を保ちましょう。
胃潰瘍の症状に心当たりのある方は、早めに医療機関を受診しましょう。 早期発見・早期治療が、症状の悪化を防ぎ、完治へとつながります。