胃炎(急性胃炎・慢性胃炎)の原因や治療法について

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2025.06.26

胃炎(急性胃炎・慢性胃炎)の原因や治療法について

胃炎とは?

胃炎とは、胃の粘膜に炎症が起きている状態を指します。胃は食べ物を消化する胃酸から自身を守る機能を持っていますが、このバランスが崩れると炎症が生じます。
胃炎は大きく分けて急性胃炎慢性胃炎の2種類あり、種類によって原因や治療法が異なります。胃もたれ、胸焼け、胃の痛み、吐き気、嘔吐などの症状が現れることが多いですが、稀に自覚症状がない場合もあります。
胃の不調が続く場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
特に、吐血や下血、症状の悪化などが見られる場合は、速やかに受診しましょう。

胃炎の種類:急性胃炎と慢性胃炎

胃炎には様々な種類がありますが、大きく分けると急性胃炎と慢性胃炎の2つに分類されます。さらに、慢性胃炎の中にはいくつかの病態が含まれます。

急性胃炎

急性胃炎は、急激に胃の粘膜に炎症が起こるものです。暴飲暴食(特にアルコールの大量摂取)やストレス、胃粘膜を傷つける副作用がある薬剤などが原因で、みぞおちの突然の激しい痛みや吐き気、嘔吐、食欲不振、胃のむかつき、胸焼けなどの症状が現れます。
原因を取り除けば数日で改善することが多いですが、重症の場合は入院治療が必要となることもあります。

慢性胃炎

慢性胃炎は、長期間にわたって胃の粘膜に炎症が続いている状態です。胃がヘリコバクター・ピロリ菌に持続的に感染することで、胃の粘膜が慢性的に炎症を起こし、徐々に胃の粘膜が薄くなる「萎縮」が進行します。
胃もたれ、胸焼け、胃の不快感、食欲不振、軽い痛みなどが慢性的に続くことが多いですが、無症状の場合も少なくありません。

その他特殊な胃炎

神経性胃炎(機能性ディスペプシア)

胃の機能自体に異常があるものの、胃カメラなどで明らかな炎症や潰瘍が見つからない場合に診断されることがあります。ストレスなどが原因で自律神経が乱れ、胃の動きや胃酸分泌のバランスが崩れることで症状が出ます。

急性ストレス性胃炎

急性ストレス性胃炎は、強い身体的または精神的ストレスによって急激に胃粘膜に炎症が起こる病態です。大きなケガ、手術、重度の病気などが原因で、胃の血流低下や胃酸分泌の増加により発症します。

放射線性胃炎

放射線性胃炎は、がん治療などで胸部や上腹部に放射線を照射した副作用として、胃の粘膜に炎症が起こる病気です。吐き気、食欲不振、胃もたれなどが現れることがあります。

胃炎の症状

胃炎の症状は、その種類(急性か慢性か)、原因、炎症の程度によって様々ですが、一般的には以下のような症状が見られます。

  • 胃の痛み(心窩部痛)
  • 胃の不快感・違和感・膨満感
  • 胸焼け(胸やけ)
  • 吐き気(悪心)・嘔吐
  • 食欲不振
  • げっぷ(おくび)の増加
  • 消化不良感

重症の場合に見られる胃炎の症状

以下の症状が見られる場合は、胃炎が重症化しているか、胃潰瘍や他の深刻な病気が隠れている可能性があるため、速やかに医療機関を受診する必要があります。

  • 吐血
  • 黒い便(タール便)
  • 貧血の症状
  • 体重減少
  • 激しい腹痛

胃炎の種類別の症状と特徴

急性胃炎の場合、症状が急に現れ、比較的激しいことが多いです。原因を取り除けば比較的早く治まります。
一方慢性胃炎は、症状が穏やかで、慢性的に続くことが多く、自覚症状がないまま進行していることも少なくありません。特にピロリ菌による慢性胃炎の場合、症状がはっきりしないまま胃の粘膜の萎縮が進むことがあります。
胃の不調を感じたら、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断を受けることが大切です。

胃炎の検査

胃炎の検査は、症状や疑われる原因によって様々な方法がありますが、最も重要かつ一般的なのは「胃内視鏡検査(胃カメラ)」です。それぞれの検査について詳しく見ていきましょう。

胃内視鏡検査(胃カメラ)

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胃内視鏡検査(胃カメラ)は、食道、胃、十二指腸の粘膜を直接目で見て、炎症の有無、程度、範囲、粘膜の萎縮や肥厚、びらん、潰瘍などを詳細に確認します。
胃炎だけでなく、胃潰瘍や胃がん、ポリープなどの重大な病気がないかを同時に調べることができます。
当院では胃内視鏡検査(胃カメラ)に対して不安をお持ちの方にも安心して受けていただけるように、鎮静剤を使用した検査をおこなっております。
患者さんが眠っている間に検査が終わりますので、苦しさや痛みを感じることなく検査を受けていただけます。

ピロリ菌検査

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慢性胃炎の主要な原因であるヘリコバクター・ピロリ菌の感染の有無を調べます。主に「内視鏡を使う方法」と「使わない方法」があります。
内視鏡を使う方法は、胃カメラ時に胃粘膜を採取し、胃の病態も同時に確認できます。
内視鏡を使わない方法は、胃カメラが不要であることから身体への負担が少ないのが特徴です。検査結果に基づき、必要であれば除菌治療が行われます。

胃炎の治療

胃炎の治療は、その原因・種類・症状の程度によって異なりますが、大きく3つに分けられます。
これらの治療は、医師の診断に基づいて行うことが重要です。特に胃炎の症状は胃潰瘍や胃がんなど他の重篤な病気と似ていることがあるため、自己判断で市販薬を使い続けるのではなく、医療機関を受診して適切な検査と診断を受けてください。

胃炎の原因の除去・改善

原因の除去・改善は、胃炎の根本的な治療として最も重要です。
急性胃炎の場合、アルコール、香辛料、カフェインなどの刺激物の摂取を控えたり、胃に負担をかける薬剤を医師と相談して中止または胃に優しい薬に変更したりします。ストレスが原因の場合は、十分な休養、リラックス、ストレス解消法を導入していただきます。
慢性胃炎の場合は、主要な原因であるヘリコバクター・ピロリ菌の除菌治療を行います。通常、胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗菌薬を組み合わせて、7日間服用します。除菌治療が成功すれば、胃炎の改善や胃がんのリスク低減が期待できます。

薬物療法

症状を和らげ、胃の粘膜を保護・修復するために、胃酸分泌抑制薬や胃粘膜保護薬・修復薬、胃の運動機能改善薬、制酸剤、漢方薬などの様々な薬が使われます。

生活習慣の改善

薬物療法と並行して、以下のように日々の生活習慣を見直すことが、胃炎の改善と再発予防に非常に重要です。

  • 食事の工夫
     ・消化に良い食事
     ・刺激物の制限
     ・規則正しい食事
     ・よく噛んで食べる
     ・過食・早食いを避ける
  • 禁煙
  • ストレス管理
  • 十分な休養

まとめ:胃に不調を感じたら受診しましょう

胃炎の主な症状は、胃の痛みや不快感、胸焼け、吐き気などです。診断には、胃内視鏡検査(胃カメラ)が最も重要で、ピロリ菌感染の有無も調べられます。

治療は、まず原因の除去(例えばピロリ菌の除菌、ストレスの管理、原因薬剤の中止など)が中心となります。加えて、胃酸を抑える薬や胃の粘膜を保護する薬が使われます。暴飲暴食を避ける、禁煙、ストレス軽減など、生活習慣の改善も非常に重要です。

胃の不調が続く場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることをお勧めします。

【この記事の監修】

なかた内科・胃腸内科クリニック院長 中田智之

資格
  • 日本内科学会 認定内科医
  • 日本消化器病学会 消化器病専門医
  • 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
  • 日本消化管学会 胃腸科認定医
  • 日本ACLS協会 ACLSプロバイダー
  • 日本抗加齢医学会 日本抗加齢医学専門医
  • 医学博士(甲 大阪医科薬科大学)
  • 日本消化管学会 便通マネージメントドクター
  • 緩和ケア研修会修了
専門分野
  • 消化器内科疾患

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