2025.11.25
大腸憩室炎とは:原因・治療法・予防法まで徹底解説
近年、腹痛や発熱を伴う「大腸憩室炎」が増えており、年齢を問わず注意すべき消化器疾患として知られるようになってきました。大腸の壁にできた小さな袋(憩室)に炎症が起こることで発症し、軽症で済む場合もあれば、重症化して強い痛みや入院が必要になることもあります。
早期発見のためには、大腸の状態を直接確認できる大腸カメラ(大腸内視鏡検査)が重要な役割を果たします。
本コラムでは、大腸憩室炎の原因から治療法、さらに再発予防のポイントまで、初めての方にも分かりやすく解説します。
大腸憩室炎とは
大腸憩室炎(だいちょうけいしつえん)は、大腸の壁の一部が外側に袋状に膨らんだ「憩室(けいしつ)」という部分に、便や細菌が入り込み炎症を起こした状態をいいます。
憩室自体は、加齢や便秘などによって腸内の圧力が高まることでできやすく、多くの場合は無症状のまま経過します。しかし、そこに細菌が入り炎症が起こると、発熱やお腹の痛みなどの症状が現れます。
主に左下腹部に多くみられますが、右側にできることもあります。軽症であれば薬の治療で治まりますが、炎症が強くなると膿がたまることや、まれに腸に穴があいて腹膜炎を起こすこともあります。
早期に適切な治療を受けることで、重症化を防ぎ、再発リスクを減らすことができます。
大腸憩室炎の主な症状
炎症が起こる場所や強さによって、痛みの出る部位や体の反応は異なります。
左下腹部(または右下腹部)の痛み
炎症を起こした憩室の部分に痛みが出ます。特に左下腹部に起こることが多いです。
発熱
炎症や感染によって体温が上がり、38℃前後の発熱を伴うことがあります。
下痢または便秘
腸の炎症や動きの乱れにより、便通が不安定になることがあります。
吐き気、食欲不振
腸にガスがたまりやすくなり、お腹の張りや圧迫感を感じることがあります。
お腹の張り
炎症による全身の不調で、食欲がなくなったり吐き気を感じたりすることがあります。
大腸憩室炎の原因
大腸憩室炎は、日々の生活習慣や加齢など、さまざまな要因が重なって起こります。
食物繊維の少ない食事
野菜や果物、穀物などの食物繊維が不足すると便がかたくなり、腸に負担がかかります。
便秘による腸内圧の上昇
便が硬くなると腸の中の圧力が高まり、腸の壁が押し出されて憩室ができやすくなります。
加齢による腸壁の弱まり
年齢とともに腸の筋肉や壁が弱くなり、圧力に耐えられず憩室ができやすくなります。
肥満・喫煙・運動不足
これらの生活習慣も腸の働きを低下させ、便秘や炎症のリスクを高めます。
大腸憩室炎の診断・検査
血液検査
血液検査では、体内で炎症が起きているかどうかを確認します。
具体的には、白血球の増加やCRP(炎症反応)値の上昇があるかを調べます。これらの数値が高い場合は、体のどこかで感染や炎症が進んでいるサインです。
また、脱水や貧血の有無など、全身の状態を把握するための指標にもなります。憩室炎が疑われるときは、まずこの血液検査を行い、炎症の程度を判断することが多いです。
CT検査
腹部CT検査は、大腸憩室炎の診断に最も重要とされる検査です。
CTでは、炎症を起こしている腸の部位を正確に確認できるほか、膿がたまっていないか、穿孔(穴があく)していないかなど、合併症の有無も詳しく調べることができます。
また、憩室炎以外の腹痛の原因(虫垂炎や腸閉塞など)との見分けにも役立ちます。
放射線を使う検査ですが、短時間で痛みも少なく、診断の信頼性が高いのが特徴です。
その他の検査
炎症が落ち着いたあとには、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を行うことがあります。これは、憩室以外の病気(大腸ポリープや大腸がんなど)が隠れていないかを確認するためです。
急性期には炎症が強く、腸に刺激を与える危険があるため、内視鏡検査は原則として炎症が治まってから実施します。
また、超音波検査(エコー)を用いて腹部の状態を確認することもあり、患者さんの症状に応じて適切な検査方法を選択します。
京都市伏見区のなかた内科・胃腸内科クリニックでは、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を行っています。日帰りで大腸ポリープ切除してお帰り頂くことが可能ですので、大腸憩室炎の症状でお悩みの方はお気軽にご相談ください。
大腸憩室炎の治療
大腸憩室炎の治療は、炎症の強さや症状の程度によって方法が異なります。
軽い場合はお薬と安静で改善しますが、重症になると入院が必要になることもあります。
軽症の場合
軽い大腸憩室炎では、抗菌薬(抗生物質)の内服による治療が中心となります。炎症を抑えるために、しばらくのあいだ食事を控えたり、消化のよい流動食に切り替えたりすることもあります。安静に過ごすことで腸への負担を減らし、自然に回復を促します。
多くの場合は、数日〜1週間ほどで症状が落ち着き、通院での治療が可能です。ただし、痛みや発熱が強くなった場合は、症状が進行している可能性があるため、早めの再受診が大切です。
中等症〜重症の場合
38度前後の発熱、痛みが強い、血液検査で炎症反応が著しく高い場合などは、入院治療が必要になります。この場合は点滴での抗菌薬投与を行い、絶食・輸液管理によって腸を安静に保ちます。
炎症によって膿がたまった場合は、ドレナージ(排膿処置)で膿を外に出す治療を行うこともあります。腸に穴があいたり、腹膜炎を起こしたりした場合は、外科手術が必要となることもあります。
重症化を防ぐためにも、自己判断で治療を中断せず、医師の指示に従ってしっかり治すことが大切です。
再発と予防について
大腸憩室炎は、一度治っても再発することが少なくない病気です。再発を防ぐためには、日常生活の中で腸にやさしい習慣を続けることが大切です。
特に、食物繊維を多く含む食事を心がけることで、便通が整い、腸内の圧力が下がって憩室への負担を減らせます。野菜・果物・海藻・豆類・穀物などをバランスよく取り入れましょう。
また、水分を十分にとること、適度な運動、規則正しい排便習慣も予防につながります。肥満や喫煙、過度な飲酒はリスクを高めるため、生活全体の見直しも重要です。
一度炎症を起こした方は、体調の変化に気づいたときに早めに受診することが安心です。
まとめ
大腸憩室炎は、大腸の壁にできた小さな袋(憩室)に炎症が起こる病気で、腹痛や発熱などの症状を引き起こします。多くの場合は、抗菌薬の治療や食事制限、安静によって改善しますが、炎症が強いときには入院や点滴治療が必要になることもあります。
一度治っても再発することがあるため、普段から食物繊維や水分をしっかり摂り、便秘を防ぐ生活を心がけることが大切です。また、腹痛や発熱、便通の変化が続くときは、我慢せず早めに医療機関を受診しましょう。
京都市伏見区にあるなかた内科・胃腸内科クリニックでは、必要に応じて大腸カメラ(大腸内視鏡検査)による精密検査を行い、憩室炎の診断やほかの疾患との鑑別に対応しています。早期に適切な検査と治療を受けることで、重症化を防ぎ、健康な腸を守ることにつながります。
【この記事の監修】
なかた内科・胃腸内科クリニック院長 中田智之
- 資格
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- 日本内科学会 認定内科医
- 日本消化器病学会 消化器病専門医
- 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
- 日本消化管学会 胃腸科認定医
- 日本ACLS協会 ACLSプロバイダー
- 日本抗加齢医学会 日本抗加齢医学専門医
- 医学博士(甲 大阪医科薬科大学)
- 日本消化管学会 便通マネージメントドクター
- 緩和ケア研修会修了
- 専門分野
-
- 消化器内科疾患


